強化棟とは?地震でずれた・崩れた棟瓦を積み替えた熊本の事例3件

✓ この記事の要点

強化棟(きょうかむね)は棟の積み方です。棟の位置に金具を取り付け、その上に芯材を通してから、いちばん上の瓦(冠瓦)をかぶせてビスで留めます。棟は屋根のいちばん高いところにある、瓦を積んだ部分です。

工事前の大棟の端。重ねたのし瓦の端から茶色い土が出て、割れた瓦が載っている

工事前地震で大棟の端から土が出て、割れた瓦が載っていた(事例1の家)

工事後の大棟の端。冠瓦が並び、端に丸い瓦が付いている

工事後強化棟に積み替えた同じ大棟の端

株式会社MITSUTOMI TEC(ミツトミテック)は、令和8年熊本地震で棟瓦がずれたり崩れたりした熊本県内の家で、棟を積み替えてきました。この記事では当社の地震の記事で施工前・施工後を紹介した宇城市と八代市の3軒について、積み替えの工程と、それぞれの家の工事の様子を写真で紹介します。

01強化棟に積み替える工程

事例1の家の隅棟(屋根の角を斜めに下りる棟)で撮った写真を、工事の進んだ順に並べました。

崩れた棟を取り除いた隅棟。外壁ぎわまで、棟の位置に茶色い土が残っている

1. 崩れた棟を取り除く崩れた冠瓦やのし瓦、中の土を取り除き、割れた瓦も外します。写真は取り除いたあとで、棟の位置に土が残っています。

古い棟を取り除いた隅棟の位置に、金具が間隔をあけて取り付けられている

2. 金具を取り付ける棟の位置に、金具を間隔をあけて取り付けます。

金具に沿って黒い材料を盛っている作業中の様子

3. 黒い材料を盛る金具に沿って、黒い材料を盛ります。

棟の位置に、細長い芯材が取り付けられている

4. 芯材を取り付ける金具の上に芯材を取り付けます。

積み替えを終えた隅棟。丸みのある冠瓦が外壁ぎわまで一列に並んでいる

5. 冠瓦をかぶせて仕上げる芯材の上に冠瓦をかぶせ、芯材にビスで留めて仕上げます。1の写真と同じ外壁ぎわの隅棟です。

工事中の写真は、ご希望があればお渡しできます。

地震のあと、棟瓦が
気になっている方へ

工程の写真を見て「うちの棟も気になる」という段階でも、ご相談ください。

電話で相談する0964-41-2232

お電話が難しい方はお問い合わせフォームからどうぞ。

02強化棟とは

強化棟は棟の中に芯材(棟の芯にする細長い材料)を通し、その芯材を金具の上に取り付けてから、冠瓦をかぶせてビスで留める積み方です。

工程の写真の家では、芯材に垂木(たるき:細長い木材)を使いました。

強化棟は、のし瓦(平たい瓦)を何段も重ねた棟より、瓦の段数が少なくなります。芯材と金具は強化棟だけのものではなく、普通の棟の積み直しでも使う場合があります。強化棟にしても、地震で崩れないとは言い切れません。

事例1の家の棟を工事前と工事後で比べると、次のように違います。

比べるところ工事前工事後(強化棟)
棟の中土芯材と、金具に沿って盛った黒い材料
瓦の積み方平たい瓦(のし瓦)を何段も重ね、上に冠瓦芯材の上に冠瓦
棟の固め方重ねた瓦を針金で縛っている芯材を金具の上に取り付けている

03国の調査で分かった棟の被害

令和8年7月28日の熊本地震(マグニチュード7.1、暫定値)では、宇城市と氷川町で震度7を記録しました。国土交通省国土技術政策総合研究所と国立研究開発法人建築研究所は、宇城市・八代市・氷川町で瓦屋根の被害を調べ、次のように報告しています。

  • ✓ 調べた範囲では、瓦のずれや脱落は棟や隅棟(屋根の角を斜めに下りる棟)を中心に見られた

出典:国土交通省国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人建築研究所「令和8年熊本地震による建築物の瓦屋根等の被害調査報告(速報)」(令和8年8月31日)

この調査は瓦屋根の被害についての報告で、この記事の強化棟を調べたものではありません。

国土交通省が協力したチラシは屋根には登らず、屋根の状態を詳しく知りたいときは瓦の工事業者に相談するよう呼びかけています。地震のあとの屋根にも、ご自身で上がらないでください。

出典:国土交通省「あなたの家の瓦、緊結されていますか?~令和4年1月から、瓦屋根の留付け基準が強化されます~」

04事例1:大棟と隅棟を積み替えた家(宇城市)

棟はほとんど崩れ、崩れていない棟にも傾いている所がありました。雨漏りはありませんでした。工程の写真の外壁ぎわの隅棟も崩れていました。大棟(屋根のてっぺんを横に走る棟)はのし瓦を何段も重ねて針金で縛った作りで、端では中の土が出て、割れた瓦が載っていました。

古い棟瓦を取り除いた大棟。棟の位置に茶色い土と瓦の切り口が見える

工事中大棟の古い棟瓦を取り除いたところ

工事後の大棟。丸みのある冠瓦が一列に並んでいる

工事後強化棟に積み替えた同じ大棟

見積書に入れた主な工事は次のとおりです。

  • ✓ 大棟の強化棟への積み替え(14m)
  • ✓ 隅棟の強化棟への積み替え(8m)
  • ✓ 割れた瓦の撤去と交換、瓦のずれの調整

大棟は工事前より低くなりました。のし瓦を重ねず、芯材の上に冠瓦を載せる作りにしたためです。工事は5日かかりました。

この家の施工前・施工後の写真は「熊本地震で屋根瓦がずれた・崩れたら」の宇城市「壁ぎわの棟瓦の崩れ」でも紹介しています。地震の記事では、芯材を入れて棟を積み直した工事として紹介しています。

05事例2:棟瓦を積み替えた家(八代市)

地震で棟瓦がずれ、雨漏りしていた家です。古い棟瓦を取り除き、棟を強化棟で積み替えました。工事は2日かかりました。

棟瓦と棟ぎわの瓦を外した屋根。瓦の下の土と下地が見えている

工事中棟瓦と、棟ぎわの瓦を外したところ

積み替えを終えた棟。冠瓦が一列に並んでいる

工事後強化棟に積み替えた棟

この家の施工前・施工後の写真は「熊本地震で屋根瓦がずれた・崩れたら」の八代市「棟瓦のずれ・崩れ」でも紹介しています。地震の記事では、芯材を入れて棟を積み直した工事として紹介しています。

06事例3:棟と周りの瓦を直した家(宇城市)

宇城市の家です。2階の棟は全部崩れ、棟まわりの平瓦(屋根の面に並ぶ瓦)もずれていました。雨漏りはありませんでした。この家では応急修理制度を使いました。

見積書に入れた主な工事は次のとおりです。

  • ✓ 棟の強化棟への積み替え(8.5m)
  • ✓ 棟まわりの瓦の調整と葺き直し

棟まわりの平瓦をいったん外して並べ直し(葺き直し)、そのうえで棟を積み替えました。工事は3日かかりました。

棟と周りの瓦を外した屋根。瓦の下の木の下地が見えている

工事中棟と周りの瓦を外したところ

積み替えを終えた棟。冠瓦が一列に並んでいる

工事後強化棟に積み替えた棟

この家の施工前・施工後の写真は「熊本地震で屋根瓦がずれた・崩れたら」の宇城市「棟瓦の崩れ・平瓦のずれ」でも紹介しています。地震の記事では、芯材を入れて棟を積み直した工事として紹介しています。

07修理費の支援制度

地震で壊れた屋根の修理には、市町村などの支援制度が使える場合があります。制度ごとに条件や申し込みの順番が違うため、工事を決める前に確かめてください。

被災直後にすること、使える支援制度、業者の選び方は「熊本地震で屋根瓦がずれた・崩れたら|最初の3つと応急修理制度・修理事例」にまとめています。

08よくある質問

Q

強化棟にすれば、地震で崩れませんか?

A

崩れないとは言い切れません。屋根の状態は現地で確かめてからご説明します。

Q

工事は何日かかりますか?

A

この記事の3軒では、事例1が5日、事例2が2日、事例3が3日でした。積み替えた棟の長さや、見積書に入れた工事は家ごとに違います。

Q

崩れていない棟も積み替えたほうがよいですか?

A

屋根に上がって棟のずれや傷み具合を確かめてから、ご提案します。屋根にはご自身で上がらないでください。

Q

工事中の写真はもらえますか?

A

ご希望があればお渡しできます。

Q

工事のあとに気になることが出たら、相談できますか?

A

アフターサービスを行っています。点検の時期は決めておらず、気になることがあればいつでもご相談を受けます。

09棟瓦の修理のご相談

棟のずれや崩れ、割れた瓦など、地震のあとの屋根で気になることがあればご相談ください。

CONTACT

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監修者 富永展光(株式会社MITSUTOMI TEC 代表取締役)

運営:株式会社MITSUTOMI TEC(熊本県熊本市南区城南町阿高719-2/熊本県知事許可(般‐8)第20742号(塗装工事業))
監修:富永展光(株式会社MITSUTOMI TEC 代表取締役)
最終更新日:2026年11月2日